自衛隊名簿提供問題-住民訴訟を提訴、第1回公判は10月27日(水)-
- 広報部
- 2021年9月17日
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昨年6月5日に福岡市は18歳・22歳の若者の名簿を自衛隊へ提供しました。今年6月4日に自衛隊名簿提供に要した費用は違法な支出であるとして住民監査請求を行いましたが、8月2日に監査結果が出され、棄却となりました。そこで地方自治法に則り、9月1日に住民訴訟を提訴しました。
論点は「市の裁量権の逸脱」と「地方自治の責任の放棄」
違法な支出の返還を求める訴訟ですが、支出の原因となった名簿提供の違法性が争点となります。主な論点は
(1) 自衛隊員募集のために18歳、22歳の市民の名簿を自衛隊に提供することは法定受託事務ではなく、福岡市の裁量で提供しており、“同意がない”名簿の提供は裁量権の乱用・逸脱である、
(2) 福岡市は昨年2月に福岡市個人情報保護審議会に諮問しているが、審議会の審議は不十分であり、その答申をもって“同意がない”まま名簿提供したことは違法である、
(3) 住民基本台帳法で自治体は個人情報を保護する義務が課せられており、また、戦争する組織に変容している自衛隊の募集に協力することは、地方自治の本旨である「住民の福祉の増進を図る」に反し、違法である、
の3点です。小郡市では2016年に自衛隊への名簿提供をやめていますし、今年筑後市でも名簿提供をやめました。いずれの市も名簿は自衛隊法施行令第120条に書かれてある「資料」に該当しないとしています。
世界ではAIによる監視と民主主義の破壊が起こっている
情報化社会が進化し、個人情報が知らない間に集められ、知らないに間に使われ、商業利用や監視社会が到来しようとしています。集められた大量の個人情報はAIによってプロファイリング(分析・類型化)され、個人の行動が変容されることが既に起こっています。中国では住民・在住者の監視やウィグル族など少数民族の弾圧に使われていますし、アメリカの大統領選挙やイギリスのEU離脱の国民投票では投票行動への干渉がなされ、大きな問題となっています。
このような中、EUでは一般データ保護規則を制定し、個人のプライバシー権と個人情報の自己コントロール権を保障しています。ドイツでは独立した第三者機関が調査権・勧告権・命令権を持ち、政府・警察・軍に対して個人情報を適切に管理しているかチェックしています。
しかし日本では、個人情報・行政情報の利活用が全面的に打ち出され、デジタル関連法が十分な議論がなされないまま強行成立しました。日本の個人情報保護法では第三者機関の権限も弱く、個人情報の自己コントロール権やプライバシー保護が明記されていません。
個人情報保護制度を確立するために裁判の支援を
自衛隊への名簿提供の問題は、個人情報保護のあり方が問われるとともに、地方自治が問われています。裁判の支援および傍聴をお願いします。
■第1回公判 10月27日(水)午後2時 @福岡地裁902号法廷
※原告の脇義重さんと荒木(大塚)龍昇が意見陳述します。
※1時30分より門前集会を行います。
ふくおか緑の党 代表 あらき龍昇
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