小水力発電所、電気以外も発電しとるやん
- 広報部
- 2022年5月13日
- 読了時間: 3分
「小水力発電を見られるよ」と誘われるままに参加した私。
小水力?発電?それはエネルギーの自給自足?海外で戦争が起きている現状、エネルギーや食糧への危機意識から、そのキーワードだけで参加する意味があると思えた。
主催は「今を生きる会」という原発への反対運動をされている団体で、かなりの存続の危機だと、現地への道中でお話を伺った。求む、仲間。求む、脱原発。求む、クリーンエネルギー。

佐賀県吉野ヶ里町松隈集落にある松隈地域づくり株式会社、代表の多良正裕さんにお話を伺う。
全40戸125人が暮らす松隈集落にできた、ほぼ1年中安定して発電し続ける小さな発電所。60戸ほどの電力をまかなえる発電量らしい。普通にすごくない?めちゃすごいんやけど。
九州大学発のベンチャー企業(株)リバー・ヴィレッジとともに進められた、小水力発電事業の「佐賀モデル」は特徴のある発電所で、脱炭素チャレンジカップ2022で環境大臣賞グランプリ等、数々の賞を獲り注目を集め、新潟や東京からも視察に訪れるという。
何がすごいかをざっくり説明すると、従来の小水力発電所に比べ、規模が小さく汎用性が高い(真似しやすい)、設置や組み立てのコストが低い、年間を通して安定した発電が可能、なにより管理が楽、なのに採算性がある、という感じ。

従来の小水力発電所の1番の課題は管理の大変さにあったが、松隈小水力発電所では施設の設計とコンピュータの自動管理により、管理が劇的に楽になり、「稼働する前は忙しかったが稼働した後はやることがなくて暇になった」と何度も嬉しそうにお話をされていたのが、とても印象的。
松隈小水力発電所は発電した電気を全て売却(全量売電)することで事業として成り立っている。私が想像していた自給自足とは違ったが、なるほど、電気は売る時代なのか、と感心した。
自給自足ではなく全量売電することで、自給自足以上に大きな価値や変化が生まれつつあることを教えてくれた。

松隈小水力発電所が、十分に採算性のある事業として成果があること。環境への負荷が少なくクリーンであること。日本各地のモデルケースになりうること。モデルケースとして収支の数字も含めて全ての情報をオープンにしていること。事業を進めるにあたって、松隈集落の全40戸の人々が株主として事業に関わったこと。事業で生み出されたお金で、松隈集落をより暮らしやすい地域にする為に、活気ある取り組みが進められていること。その事業を支える歴史的な背景があったこと。
成功理由として注目を集める多くの理由の中でも「自立した地域づくりのための具体的な事業計画」と「活動をする人々の行動力」が、何よりも大きな理由だと感じた。
小水力発電という事業を通して、本当の意味での「持続可能な地域」に変化しつつある松隈集落。地域づくりの根幹を担う人々のエネルギーまで「発電」しているように見えた。これが地域づくりなのか。私はめちゃ感動した。
有村 博
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