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福島原発事故被害救済九州訴訟第2陣を傍聴して

  • 広報部
  • 2022年1月31日
  • 読了時間: 5分

ふくおか緑の党会員 N.M


1月24日(月)に福岡地方裁判所で行われた、福島原発事故被害救済九州訴訟(第2陣)を傍聴してきました。原告の木村雄一さんや金本さん、氏家さんの顔が見えて、自分が福岡に自主避難してきた頃のことが思い出されて、何とも言えない感情が興りました。


今回の裁判は傍聴が抽選とのことで、12時45分からの抽選券(リストバンド形式)が配布され、13時半に抽選でした。このため、抽選券をもらって、13時から30分ほど期日前集会に参加して、13時半の抽選結果を確認(ギリギリ定員数内だったようで、抽選はなしでした。新型コロナも流行っていますしね・・・。)し、14時からの裁判の傍聴をしてきました。


近藤弁護士の意見陳述書類には、2011年3月と2020年7月の汚染状況などの資料も掲載されており、土壌汚染が9年経っても著しいことなどが挙げられ、「避難者は未だに帰還できず、帰還しても不安を抱えたままの生活を余儀なくされるという被害が、現在進行形で生み出されています。」とも述べてくださいました。「全国20以上の裁判所に約30件が提起され、1万人を優に上回る原告が、国と東京電力の責任を問い、被害の救済と根絶を求めて裁判をたたかっています。」と述べられたように、事故後10年以上経った今も多くの問題が解決に至っておりません。


また木村さんの意見陳述の中では、「親兄弟を捨てて逃げるのか?」「自分たち家族だけ健康になって下さい」「住めるようになっても戻ってこないでください」など、誹謗中傷のメールやブログが避難当日まで続いた・・・とありました。避難を決意するだけでも、多くのストレスがあります。加えての誹謗中傷です。読み上げながら、木村さんの声が上擦る場面もありました。


幸いなことに、私が避難移住するときにはそんな誹謗中傷はほとんどありませんでしたが、福島だけでなく東北・関東が汚染されているということをSNSなどで書いた際には、同じように罵倒して、SNS上での繋がりを絶った東北の友人もいました。また、私の実家は茨城南部で原発事故直後は、年間1mSv(毎時0.23μSv)のちょうどボーダー付近の汚染のあった土地だったため、少しでも気にして欲しいと思い汚染を訴える私に、弟が「どうしようもないことをこれ以上言って何になるの?」と言い放ったときもありました。


木村さんは意見陳述の中で、アイリーン・美緒子・スミスさんの「水俣と福島に共通する10の手口」という引用をされていました。

① 誰も責任を取らない/縦割り組織を利用する

② 被害者や世論を混乱させ、「賛否両論」に持ち込む

③ 被害者同士を対立させる

④ データを取らない/証拠を残さない

⑤ ひたすら時間稼ぎをする

⑥ 被害を過小評価するような調査をする

⑦ 被害者を疲弊させ、あきらめさせる

⑧ 認定制度を作り、被害者数を絞り込む

⑨ 海外に情報を発信しない

⑩ 御用学者を呼び、国際会議を開く

木村さんは「この10年はアイリーンさんご指摘の通りに経過しており、今後も危惧する内容と感じます。水俣と同じように被害者が何十年も争わなければいけないのでしょうか?」と続けました。

水俣病は、1956(昭和31)年に公式確認されてから、65年以上経った今でも、完全解決とは言えない状況にあります。身体に何かしらの症状がありながら、差別や偏見を恐れて声をあげられない方がたくさんおられるとも聞きます。同じような境遇なのに補償に差が生じたり、声をあげたい方とあげたくない方などで、被害者同士の対立なども生まれてしまうのです。

こうした点に、水俣病と原発事故による被曝の共通点と根深い問題を感じました。


また福島の原発事故は、上の①にもあるように誰も責任を取っていません。まき散らされた放射性物質は無主物だと言われ、増えた甲状腺ガンも検査数が増えたせいだと。補償も廃炉費用も税金からほぼ支払われ、電力会社は支払いを逃れています。これでは、やったもの勝ちです。原発事故を起こしても、大した責任も取らなくて済むという前例を作ってしまったのでは、全国の原発が止まるわけがないのです。


最後に、今回心に刺さった裁判後の記者会見の際の氏家さんの言葉を。

(氏家さんのように)単身で避難してきたっていう若い人たちがいたが、(単身な上に、関東からの避難で)さらに声をあげられなかった、我慢していた人たちがたくさんいた。「親を残してきたの?」っていう非難や、もっと酷いこと言われただろう。そんな中で声を上げられず、ひっそりと生きていきたいという人たちがいたが、自分が声をあげることで、そういう人たちががんばらなくちゃなって思ってくれた経緯があった。

「声をあげることで、自分たちがなんでこういう風になったのかっていうのをもう一度外に発信できるようになりたい。」と、決意を表明してくれました。


私も関東からの自主避難組なので、この言葉にがつんと叩かれる気持ちがしました。心のどこかで、自主避難だから補償されなくても仕方ない、自己責任だと思っていた気持ちを叩き直してくれました。

わたしたちが責められることじゃない。原発さえなければ、育った土地も親も仕事も置いて逃げずに済んだのですから。


東電、国の責任をきちんと追求しなければなりません。福島だけでなく、子連れだけでなく、求める全ての方の声をひろい、きちんとした補償が届くように。


次回の第2陣の第2回口頭弁論記述は下記の通りです。


●次回九州避難者訴訟●

第2陣訴訟 第2回口頭弁論期日

2022年3月28日(月) 14:00〜 福岡地裁101法廷


ぜひ、傍聴をよろしくお願いします。


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