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逃げるに逃げられない原子力防災避難計画 〜玄海原発プルサーマル裁判の会 第1回控訴審を終えて〜

  • 広報部
  • 2021年11月10日
  • 読了時間: 5分

2021年11月10日、第1回控訴審(福岡高等裁判所)を終えました。


8ケ月ぶりに仲間が各地から集まりました。


福岡の天候は時々雷も走る雨の中、肌寒い一日となってしまいましたが、スタンディングアピールが始まる13時頃には雨が上がり、雲の合間からすこし青い空が覗き、「天も味方してくれている」と明るい会話をしつつ集会が始まりました。

団長、本日の陳述者2名、「ふくおか緑の党」からは荒木代表と木下副代表が、僅か15~20分程度ではありましたが、マイクを持ち、この裁判の後押しスピーチを行いました。玄海原発プルサーマル裁判の会 副代表の私(荒川)は、


「佐賀地裁の原審判決の理不尽さをこの控訴審で明らかにし、争点として玄海原発の数々の危険性、つまり、『地震』『火山』『配管の老朽化』『重大事故対策』および追加主張となる『全く実効性のない避難計画』がある。どれをとっても玄海原発を運転させる基準を満たしてない、直ちに停止すべきである。」


「元安倍首相は世界最高の安全基準を満たしていると嘯(ウソ吹)いたが、3.11以降、欧州では平均で約5800億円の対策費を掛け、掛ける価値の無い原発は廃炉になっている。しかし、日本をみれば、九電は約870億円(※)という対策費。この差が危険放置の証明になっている。一市民としてやれることをやり切りましょう!」


というような内容を話させていただきました。


「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める会」の300人もの控訴人による「行政訴訟(国を被告)」と「玄海全基の差止訴訟(九州電力を被告)」に、「原発より100㎞以上離れた地域に住む住民は訴える資格無し」という、門前払いとも言える、全く理不尽な判決が、今年3月12日に下されました。提訴よりそれぞれ7年および9年を要した二つの裁判に佐賀地裁で、原審判決が下されたのです。


直ちに3月25日不服申し立てをし、始まったのがこの控訴審です。


本来ならば二つの裁判ですから、法廷も期日も別々に審理するのが当然ですが、時間も余裕もないとする裁判所は、私たちの要望を拒否し、同日連続の開廷日程としました。今後も判決まで同時進行していくことになります。


 今日の法廷では、行政訴訟の控訴人意見陳述者として、原発から12㎞圏の唐津市に住む薬剤師の北川浩一さん、全基差し止め訴訟では、佐賀大学名誉教授の原子物理学専門家の豊島耕一さんが、それぞれの立場で玄海原発の不条理について意見陳述しました。


続いて、裁判官により深く理解してもらうために、弁護団より、控訴理由(原審の間違い)の4つの争点

「基準地震動の過小評価<入倉三宅式>」

「基準地震動の過小評価<審査ガイドの過誤(ばらつき規定とは?)>」

「火山事象に関する過誤」

「配管の安全性欠如」

についてのプレゼンテーションがあり、原判決に対する強い反論が展開されました。


本日の法廷はここ迄でしたが、新しく「原発事故避難計画の矛盾について」の口頭弁論(書面主張)を追加して主張しています。「審査は合格しても事故は起こらないとは言ってない」とするような国・原子力規制委員会です。玄海原発の安全性には、数々の問題が存在し、原発事故が起きたときには、逃げるに逃げられないような原子力防災避難計画しか作れない現状では、「絶対に玄海原発は動かすな!」というのが、わたしたちの主張となっています。


次回の法廷は、来年の2月9日(水)。これらの控訴理由に関して、国や九電が反論する番です。


法廷後の記者会見と報告集会は、場所を城南区別府に移し「バプテスト福岡城西キリスト教会」の会堂を借りて行いました。代表挨拶の後、意見陳述者の想いと感想、続いて弁護団からそれぞれ、今日の説明と所感が述べられました。


記者会見への報道関係者の出席は「佐賀新聞社」と「西日本新聞社」とフリーライターのみでしたが、新たな主張である「避難計画の実効性の欠如」を提出した意義について、弁護団長へ質問がありました。重ねて、石丸初美代表に対しては「控訴審に対する想いは?」と訊かれると、「命、人権、公正、平等をモットーとしてどんな現実も受け止めて決して諦めない想いでいます」と答え、「闘い方は?」の質問には「元気でみんな力を合わせる」と明快に答えていました。


その他、参加者からの意見感想として、「(まともでない)避難計画を作らせない運動」「外国に依頼する運動」提案や、「司法は完全に政府寄りだ、政治を変えなくてはどうにもならない。裁判の度重なる敗訴に徒労感を感じてしまう。」という感想も出ましたが、「裁判は裁判として運動を、市民は市民としてできることをやっていこう!」と応え、この運動を続けていく気持ちを新たにしました。


最後に、副代表として閉会の言葉を私が担いました。


「この裁判の内容を、一生懸命に諦めず分かりやすく説明し続けていけば、気候変動危機や我が国のエネルギー問題が、選挙での争点として上らないような国民の関心度を、少しでも変えていけるかもしれない。例え、良い裁判長に当たらず、なかなか勝てない裁判が続いても、市民運動を、裁判を通して闘い続ける意義がそこにあるのではないでしょうか?」


加えて、もう3.11原発事故は過去の事、心配しなくてもよいのではと思っている人たちに、読めば「決してそうではない」と解かる、一冊の本「孤塁 双葉郡消防士たちの3.11」を紹介して、結びの言葉とさせてもらいました。


次回の公判は、2022年2月9日(水)です。

ぜひ、多くの市民が関心を持っていることをアピールするためにも、傍聴よろしくお願いします。


◆「孤塁 双葉郡消防士たちの3.11」(著:吉田千亜・岩波書店)・・・絶対に逃げられない消防士としての責務、両親にも妻子にも会えず悩みつつ、各地からの救助の要請・原発構内での作業に被ばくしながら、また何も知らされず犠牲の中で働く以外なかった地元の消防士たち。著者が話を聴いた消防士66名が感じている原発事故。避難計画など作れない原発事故の真実。原発はこの2つだけとっても、全く要らない。・・・原発被災地の避難の実態を、この本を読んで学ぼうと思いました。


※:岡本良治(九工大名誉教授),「世界最高水準の原子力規制基準ってほんと?」, 2015


ふくおか緑の党運営委員/                

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 副代表

荒川謙一

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