あらきニュース臨時号:争点~福岡空港問題
- 広報部
- 2017年6月1日
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空港問題の争点は、「運営権を譲渡された新会社が、空港周辺の騒音対策や周辺対策をキチンと実施することを、どのように担保できるか」でした。
運営権譲渡とは、民間会社が投資を呼びかけて新会社をつくり、国から飛行場を有償で借り受けて営利活動をします。具体的には管制を除いて、空港の便数の決定、空港使用料の決定、空港の維持管理、空港ビルの経営、警備や駐車場の管理、そして騒音対策など空港の周辺整備を行います。営利を追求する企業が、不採算部門である周辺対策をキチンとするのか疑問があり、チェックするには出資が必要だと私は考えています。
3月議会で髙島市長は「活力ある福岡空港づくり条例案」(福岡市が新会社へ出資することを義務づけるための条例案)を再議(再度採決を求める)にかけました。市長は新会社と市とが協議する法定協議会で意見を言えばよく、出資する必要はないと主張しました。一方、3分の2の議員は、法定協議会はあくまでも協議の場で、強制力はないので、少額でも出資して非常勤役員を送り込み、内部からもチェックする必要があると主張しました。私も少額でも出資して、内部からもチェックすべきであると主張しました。
これまで空港使用料で支払っていた空港の借地料(年間82億円)は新会社が払うのではなく、国が払う(つまり国民負担)となりました。このような経緯を見ると、新会社が騒音対策等をキチンとするのか心配です。
議会が空転 〜あってはならない、高島市長の議会軽視
「活力ある空港条例づくり条例案」の再議にあたり、第3委員会で審査することになりました。第3委員会では市長の出席と、再議の経緯や“議員への働きかけ”についての説明を求めました。福岡市委員会条例にもとづき、議長名で市長に繰り返し出席を要請しましたが、同条例に出席を義務づける条文がないことを理由に、市長は出席を拒否。委員会審議は空転しました。条例案を再議にかけたのは市長であり、市長は議会に説明責任があります。委員会審査が空転した責任は、明確に市長にあります。市長の行為は議会と市長との二元代表制を理解していない、議会軽視の行為です。しかも、議会終了直後、市長は議長の同意なしに議会事務局長を更迭するなどの暴挙を行っています。私は、以下2項目について議長に申し入れを行いました。
◎あらき龍昇が議長に申し入れた2項目
福岡市議会委員会条例第20条(出席説明の要求)の改正を求めます。
現在の福岡市委員会条例第20条では『委員会は審査または調査のため、市長、教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けたものに対し、説明のために出席を求めようとするときは、議長を経てしなければならない。』となっています。この条例の趣旨からすれば市長は委員会における審査または調査のために説明を求められたときには、特段の理由がない限り出席し、説明するものと解すべきです。
ところが市長は、再三再四にわたる出席要請に対し、出席の義務が明記されていないことを理由に挙げて委員会への出席を拒否しました。また、市長は報道機関のインタビューで「通常、委員会出席しないので、なぜ今回、委員会で話す必要があるのか、議会に尋ねているがまだ回答がない。議会で決めたからとにかく来いというのはちょっと乱暴だと思う」と発言していました。しかし再議に附したのは市長であり、審査するにあたって、その経緯および判断の理由等を説明する責任は市長にあります。加えて副市長の“議員への働きかけ”に関する答弁が、本会議と委員会審査で異なっている状況が明らかになり、委員から市長の関与も指摘されるなど、市長が委員会に出席して説明する責任があったことは明らかです。「通常、委員会に出席しない」ことは全く理由にならず、市長は地方自治における二元代表制の意味を理解していないと言えます。
私は、事態を是正するために、福岡市委員会条例第20条の2として『議長から審査または調査のため、市長、教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けたものに対し、説明のために出席を求められた場合は、特段の理由がない限り出席して説明しなければならない。』と加える条例改正を提案しています。
2、議会事務局人事に関する「市長への申し入れ」を求めています。
今回の議会事務局の人事について、市長が議長と協議することなく人事を執行したことは、議長の権限を侵害し逸脱した違法行為です。
地方自治法で議会は執行部とは独立した機関としてあり、同法第104条は「普通公共団体の議会の議長は、議場の秩序を保持し、議事を整理し、議会の事務を統理し、議会を代表する。」となっています。また、第138条②「市町村の議会に条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。」、第138条⑤「事務局長、書記長、書記その他の職員は、議長がこれを任免する。」、第138条⑦「事務局長及び書記長は議長の命を受け、書記その他の職員は上司の指揮を受けて、議会に関する事務に従事する。」となっています。
また、地方公務員法第6条で、議会の議長は「職員の任命、人事評価、休職、免職、及び懲戒等を行う権限を有するものとする」と明記されています。地方自治法および地方公務員法では議会事務局の人事権は議長にあることは明らかです。市長の行為は二元代表制を否定し、議会を軽視するもので許されるものではありません。
私たち「緑と市民ネットワークの会」は、議会として市長に謝罪を求め、今後このような行為をしないよう申し入れることを提案しています。




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