【代表談話】監視社会にNO! 個人情報保護の強化にYES! デジタル関連法は作り替えを!
- 広報部
- 2021年5月13日
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更新日:2021年5月14日
2021年5月13日
ふくおか緑の党 代表 荒木龍昇
昨日5月12日、デジタル関連法が可決成立しました。国民的議論がなされないままの強硬審議は、安倍政権と同じく、民主主義をないがしろにするものです。高度情報化社会が進む中で、個人情報保護を強化し、個人情報の利活用の在り方については国民的な合意が必要です。多くの法律家や有識者などがデジタル関連法の問題点を指摘しており、十分議論が尽くされているとは言えません。
菅政権が進めるデジタル化は、私たちの個人情報を資源や情報として利活用することに重点を置き、プライバシーが人権として明確に位置付けていません。特に行政に対する個人情報保護のシステムが弱く、行政が「業務や行政遂行上必要」とすれば「本人の同意」を得なくても目的外使用ができ、また第三者にも提供することができることになっています。また、第三者機関による個人情報保護のチェック機能が弱いことは監視社会につながります。ドイツでは第三者機関に調査権、勧告権、命令権があり、行政、警察、軍をチェックしていますが、日本の第三者機関にはありません。
デジタル庁設置法では、首相をトップとするデジタル庁が各省庁や自治体に対して強い「勧告権」を持ち、行政情報を一元的に管理するシステムがつくられます。マイナンバーが税や社会保障だけでなく、免許証、保険証、銀行口座、国家資格、学校の成績などに拡大されて紐づけされるなど、官邸が国民の個人情報、特にセンシティブな個人情報も含めて把握することになります。大量の個人情報をAIでプロファイリング(分析・評価・類型化)し、特定の対象者を監視し、また情報操作により私たちに行動変容させます。権力を持つものが個人情報を握ると監視社会につながることは、前川喜平元文部科学事務次官の事例に典型的に表れています。同時に、一元的に情報管理することは、サイバー攻撃の危険性や様々な事業の委託化に伴う外部流出の危険性が一層高くなります。
EUの一般データ保護規則では、「データはデータ主体(個人・法人)のもの」であり、原則、データは「同意なしに使えない」とし、勝手にプロファイリングされない権利を定めています。また、アメリカではAIによる顔認証技術は差別を助長するとして警察の捜査を含めて使用を禁止する自治体が増えており、EUでもAIによる顔認証技術を規制することが表明されています。カナダ・トロント市のスーパーシティ(スマートシティ)では、街中に電子センサーを張り巡らせ、人々のスマートフォンを追跡し、個人データを集めることが判明し、市民から反対運動が起こりました。企業は事業の核心であるビッグデータが入手できなくなったことから撤退しました。中国ではすべての国民や在住者は監視されており、AIによる顔認証技術を使い、ウイグル族を弾圧していることが問題となっています。
福岡市が昨年から行っている自衛隊への名簿提供も、本人の同意を得ないまま行われており、行政の裁量権の逸脱した、明らかに人権侵害行為です。本人同意のない個人情報の収集・使用は禁止すべきです。私たちは、本人同意のない自衛隊への名簿提供について福岡市に中止を求めるとともに、デジタル関連法については廃止し、高度情報化社会にふさわしい法に作り替えることを求めます。

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