2022年2月5日(土)、グローバルグリーンズ主催の24時間イベントのパブリックビューイングを、ふくおか緑の党で開催しました。この24時間イベントはグローバルグリーンズとしても初の試みで、世界中の緑の党関係者がZoomで集い、互いの現状や課題、これから目指すべき方向性について話し合いました。
今回ふくおか緑の党で企画したパブリックビューイングは、福津市津屋崎にある旧玉乃井旅館にて行われ、大人10人、子ども3人の計13人の参加者がありました。日本語通訳がつく12時開始のプログラムから視聴しました。
12:00〜13:45
「政治運動としての「グローバルグリーンズ」の影響力を高める(Increasing the impact of the Global Greens as a Political Movement)」というアジア太平洋グリーンズ連盟によるセッションを視聴しました。ケニア、フィリピン、グアム、インドなどのリーダーたちがパネリストとなり、それぞれの国の現状の報告やグローバルグリーンズに望むことやなすべきことについての提言などがありました。
例えばグアムから参加のジュリアンさんからは、自然に近い地に根付いた生活を営んできた先住民の声をグリーンズの力で政治に届けることや、「Buy 1,Get 1 Free(1つ買うと1つおまけ)」というような販売方法にも問題意識を持つことなどの訴えがありました。
「Buy 1,Get 1 Free」について問題意識を持ったことがなかったので調べたところ、家庭から出るゴミの5分の1はあまり使われずに捨てられたものであるという報告や、フードロスの30%がこの「Buy 1,Get 1 Free」のような謳い文句に起因しているという報告もあり、政策として「Buy 1,Get 1 Free」の禁止を検討する国があるほどの問題であることを知りました。循環型の社会をつくる上で、製造や消費だけでなく、販売方法についても考えていかなければならないことや、「必要なものを必要なだけ購入する」という意識も、消費者として心に留めておかねばと思いました。[Youtube(英語)動画]
14:00〜15:45
「原子力は決して解決策ではない:福島から学ぶ(Nuclear will never be a Solution: Learn from Fukushima)」という緑の党グリーンズジャパンによるセッションを視聴しました。
はじめにグリーンズジャパンの共同代表・尾形慶子さんが、「現在EUでは、コスト削減のためと地球温暖化を食い止めるために原発を再導入しようという動きがありますが、原発はそのどちらのためにもならないことを伝えます」と話し、その後、映画『太陽の蓋』のプロデューサーである橘民義さんが「様々な偶然が重なって福島はこれだけの被害で終わったが、日本全体が危うく終わるところだった」ことを図や地図を使いながら説明しました。
大賀あや子さんからは、年間20mSvの被曝を問題ないとする福島の現状や、避難者数のデータが政府の発表と実状では大きな差異があることなど、核惨事の被害が続いていることが伝えられ、「放射能・放射線をないことにしないと復興できないのですか?」という訴えが印象的でした。
郡山市議の蛇石郁子さんは、汚染水の海洋放出の問題や、原発による被害を駅前などで訴えてきたことを報告し、一緒に運動してきた仲間の一人の死について涙をこらえながら語っていました。
環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんからは「近年、発電コストを大きく下げてきた太陽光や風力発電と比べ、原発は明らかにコスト面でも劣っている」ことや原料であるウランが数十年で枯渇することなど、原発が様々な観点でいかに劣っているかについて幾つものデータを示しての解説がありました。 オーストラリアのジム・グリーンさんからは、原子力による人種差別の問題として、ウラン採掘のためにアボリジニの方が酷い人権侵害を受けていることや、イギリスによる居留地での核実験があったこと、核廃棄物投棄や放射性物質の漏洩の問題について報告がありました。原発はその原料であるウランの採掘から、発電後の使用済み核燃料の問題まで考えてみても、環境や人権に対する膨大な問題のわりに、メリットがわずかしかない発電であるとグリーンさんは訴えていました。
16:00〜17:45
日本語通訳もつかないため休憩時間の予定でしたが「脱植民地化と先住民のための正義(Decolonisation and justice for Indigenous people)」というアジア太平洋グリーンズ連盟のセッションを急遽視聴することにし、刀禰詩織さんに要約をしてもらいました。なかでもオーストラリアで先住民からの聞き取りを通して、先住民に文化や誇りを取り戻す活動をしているTjanara博士の、「脱植民地化は、一人一人の心の変化から始まる」という主張には、「ある意味、植民地化されている日本人としても、共感できる」と盛り上がりました。
また、「国が不健康なのは、私たち自身が不健康だから。地球が不健康なのは、私たち自身が不健康だから。」という言葉が、私の心に刺さりました。ヨーロッパの人たちがやって来て植え付けた、たかが200年ほどの欧米文化の前に、先住民には何千年も脈々と繋いできた文化があり、その元の文化を学んでいけば、自分たち本来の姿に戻っていけるという話も、私たち日本人にも当てはまる話だと思いました。欧米以外の文化が劣っているような印象操作をされ、脈々と繋がれてきた自分たちの文化に誇りを持てないことが、脱植民地化を疎外している要因のひとつなのだと気付かされました。 18:00〜19:45
「グローバル・グリーンズとは?今、私たちは何をしているのか?他に何をすべきなの?どうすれば参加できますか?(What is the Global Greens? What do we do now? What else should we be doing? How can I get involved?)」という話し合いの場がありました。
50人ほどが参加して、7つのグループに別れてトークセッションを行いました。ふくおか緑の党チームは、「ソーシャルメディア」のグループに参加して、刀禰さんを通じて、「原発事故後、癌患者の数が増加しているが、それを集計できないような法律ができてしまい、被害が隠蔽されている現状がある。また福島では甲状腺癌を患った10代、20代の若者たち4人が、電力会社を相手取り、責任を問う裁判を起こした。私たちはこうした行動を応援したいし、世界のグリーンズにも応援してもらえるよう発信していく場をつくっていきたい」と訴えました。「日本のマスコミは報じないのか?」という質問もあり、「報じないことが多い」と伝えました。グローバルな話し合いの場で、私たちの訴えを聞いてもらうことができたという達成感とともに、グローバルグリーンズという世界規模のつながりの中で、日本が抱える様々な問題をもっと発信していくことによって、他国のグリーンズと連携して、解決していけるのではと明るい展望を持つこともできました。
今回、このグローバルグリーンズのイベントに参加することによって、先住民の問題や植民地の問題など、現地のリアルな報告をきくことができて、あらためて世界の志をともにするグリーンズとの連携がいかに大事かということと、地球の抱える問題の多さや私たちの位置などにも気付くことができました。なかなか、海外の会議には参加できないので、年に1回くらいはこのようなオンラインのイベントが開催されることによって、様々な問題を世界に向けて発信し、同様の問題が解決された国があれば、その方法をシェアしてもらったり、解決のヒントをもらったりできるようになるのでは、と思いました。世界がつながっていることを感じられる貴重な時間となりました。
グローバルグリーンズYoutubeチャンネル(英語)※当日の動画が数本見られます。 詳細(英語)→https://globalgreens.org/connecting-for-green-action/)
スケジュール一覧(日本語)→http://greens.gr.jp/event-info/31216/
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