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広報部

生物多様性から考える須崎公園・舞鶴公園

更新日:2022年2月19日


11月21日に行われた「須崎公園の大木を守る会」の企画

・「未来の子どものために福岡からSDGsを考える市民集会」@警固公園

・「生物多様性から考える 天神・須崎公園の”小さな森”の未来」@アクロス

11月22日に行われた

・勝瀬志保さん&坂田昌子さんとの舞鶴公園ツアー

の3つのイベントに参加してきました。


 21日の警固公園やアクロスで坂田さんは、私たちの身近な公園が、虫や小動物・鳥たちだけでなく、私たち自身にどれだけ恩恵があるのかを話されていました。たとえば、木々たちが自身を虫から守るために出しているフィトンチッドという化学物質が、私たち人間にリフレッシュ効果をもたらすことや、公園の多様な微生物が子どもたちの免疫力をアップさせていることなどです。

警固公園のスピーチ(ロシアのダンスを披露してくれた方から許可をいただいて掲載)


アクロスでの講演(ロシアのダンスを披露してくれた方から許可をいただいて掲載)


 私たちは身体の中に生態系を持っていて、これは生まれつきではなく、3歳くらいまでに口と皮膚を経由して、外から多種多様な微生物を取り入れることによって形成されるのだそうです。豊かな生態系を体内に持つことが、子どもたち(私たちも!)の免疫を強くしていくために必要なことで、生物多様性の豊かな公園を奪うことは、子どもの健康的な成長を奪っていることだというのです。


 「私たちを取り囲む環境」と「私たちの身体の中の環境」はリンクしており、須崎公園の豊かな樹木を伐採して、ピカピカの市民会館を建てたとして、それによって私たちは何を引き換えに失ってしまうのか?を考えていかなくてなりません、と坂田さんはおっしゃっていました。


 最近の研究では土中の菌類を使って、木々たちが互いに支え合っていることが分かってきているという話もされていました。そんな土中でのネットワークを理解しないまま、伐採してしまうことで、他の木々も弱ってしまう、あるいは枯れてしまう可能性があるというのです。単純に2−1=1ではなく、土中のネットワーク、伐採された木にいた微生物や昆虫が失われることで、周囲にも影響が出るかも知れないのです。


 このように伐採・移植をして、伐採していない木々が枯れてしまった後に、「失敗した」と思っても、同じような木に成長するまでに60〜70年かかります。次世代のために、今の木々を残さなくてはいけないのです。須崎公園とともに歩いていく福岡のあり方を考えていけないものか?皆さんで議論してほしいと、坂田さんはおっしゃっていました。


 22日は、勝瀬さんの案内で舞鶴公園を2時間ほど歩きましたが、天神近くだということを忘れてしまうくらいの自然の豊かさに驚くと同時に、途中に何度も直径1mを超えるような大木の切り株が目につきました。勝瀬さんの話では、そのほとんどが今年切られたとのことでした。

 大濠公園から舞鶴公園へと平らに開けた公園にする「セントラルパーク構想」という計画があり、この中で「視認性を高める樹木類の密度管理」という名目でこのような伐採が行われているようです。問題なのは、このセントラルパーク基本計画検討委員会の委員の中に、生物多様性や野鳥・昆虫・植物などに詳しい研究者がひとりも含まれていないため、これらについて検討されていないと考えられることです。



 坂田さんの話は、この世界がどんなに多種多様な生物が複雑に絡み合ってつくられているのか、生物たちがどれだけ複雑にお互いに(結果的に)助け合って生きているのかに気づかせてくれました。話の中で「『弱肉強食』ではなく『全肉全食』」と言っていたように、誰も彼もが肉になり、誰も彼もがそれを食べている、という言葉が印象的でした。


 私たち人間が把握しきれていない生物たちの複雑なネットワークを壊すことで、そこに生息している生き物たちだけでなく、その破壊はやがては私たち人間に返ってくるのではないでしょうか?それは、ピカピカの市民会館やひらけた芝生公園のために、失ってはならないものなのではないでしょうか?


ふくおか緑の党会員 前島直美


【坂田昌子さんプロフィール】
国連生物多様性の10年市民ネットワーク代表、
環境NGO虔十の会代表、CEPA JAPAN理事等。
2000年より東京都の高尾山のネイチャーガイドを行いつつ
保全活動に取り組み続けている。
生物多様性の保全に尽力し日本各地を駆け回り、
生物多様性条約や地球サミットなど国際会議にも継続的に参加し、
ローカルとグローバル両方の視点で動く環境活動家。


【勝瀬志保さんプロフィール】

『大濠の季節』著者

舞鶴公園を365日歩かれています

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